弁護士を頼むタイミングはいつ?

2011/05/12

 離婚の殆どは、当事者の話し合いだけで協議離婚が成立していることが多いはずです。
 そう言う意味では、いきなり弁護士を頼む必要はなく、まずは自分たちで穏やかに話し合いをして離婚できるかどうかを試してみるのが第一でしょう。

 しかし、穏やかな話し合いができそうにないとか、穏やかに話はできるけれども果たして離婚の条件は相場に適ったものかどうか心配だとか、そう言う場合には、弁護士に関わってもらうのが一番です。

 そこで以下は、弁護士を頼むタイミングについてのお話しです。


1)弁護士に相談するのは早い方がいい
 弁護士を正式に依頼するのは、話し合いがこじれそうになってからでも大丈夫ですが、弁護士が前面に登場しなくても、離婚の正確な知識をちゃんと知って話し合いをするだけで、だいぶ違います。

 今時バツイチは珍しくありませんから、あなたの周りでも離婚の経験談を語ってくれる人は何人かいると思います。また、ネットでも離婚の体験談をブログに書いているような人がいます。さらには、行政書士や司法書士や興信所(探偵)が、離婚の豆知識を書いたりしています。
 しかし、これらの経験談などは、必ずしも正確ではありません。
 なぜなら、バツイチの離婚経験者は、「自分の離婚」という唯一のケースとしてはそのとおり経験しているのでしょうが、その自分の離婚が「一般的な離婚相場」とは違うケースもよくあるからです。例えば、「あたしはダンナから慰謝料を1000万円くらい払ってもらったから、あなたもそれくらいとってみたら?」とアドバイスされるケース。これ、残念ながらちょっと違います。任意に払ってもらえれば、慰謝料が1000万円でも1億円でもいいんですが、相手が任意に慰謝料を払わない場合には、最終的には裁判官が決めます。この裁判官が決める慰謝料には相場があって、離婚慰謝料が1000万円を超えるケースは希です。
 また、行政書士や司法書士が、離婚相談を受けているケースがありますが、彼らは弁護士のように、離婚調停や離婚訴訟という法的手続で代理人になる資格がありませんので、離婚に関する限り、法的手続を実際に経験したことがありません。したがって、行政書士や司法書士のアドバイスも、何かの本や教科書やネット情報の受け売りで、実際の離婚の法的手続を代理した実体験に基づいた知識をアドバイスしているわけではないので、私からすれば、あまり頼りになりません。

 したがって、本当に離婚についての実経験に基づく法的知識を知り抜いているのは弁護士しかいないのです。それも弁護士だと言うだけではダメで、多くの離婚事件を実際に取り扱った経験のある弁護士に限ります。
 だから、わかっている弁護士に早めに相談をしておけば、離婚の相場だけではなく、万一調停や裁判になった場合に備えて、今の段階でどんなことをしておけばいいのか、将来のリスクに備えた具体的アドバイスをしてくれるはずです(離婚弁護士の探し方は、こちらのページをご覧ください)。


2)話がこじれそうになったら自分たちで無理に話を続けない
 離婚は当事者だけの話し合いで穏やかに決まればそれに越したことはないのですが、ぶつかり合って喧嘩になることもありがちです。その場合には、自分たちだけで無理に話を続けても、我の張り合いになって話は平行線で、結局後味が悪いばかりで何も前に進みません。
 また、当事者だけで話し合えればいいのですが、親が出てきて家同志の戦争のようになってしまう場合もあります。親は、当事者でもないのに、自分の子供が可愛くて、話をますますこじれさせてしまう場合がよくあります。

 このように話し合いが喧嘩状態で前に進みそうもなかったり、親が出てきて混乱する場合には、弁護士の頼み時です。弁護士を代理人として前面に出てもらって交渉を仕切り直しましょう。
 弁護士を依頼するといっても、まずは話し合いによる協議離婚をめざすわけですから、いきなり調停にしたり裁判にするわけではありません。たいていは、弁護士から相手に対して手紙などを出して、早期円満解決を図りたいと穏やかに仕切り直そうとしてくれるはずです。


3)調停は、弁護士必須と思うべし
 当事者で離婚の話し合いがうまくいかなかった場合には、離婚調停に進めるのがお約束です。

 この離婚調停は、家庭裁判所で行う離婚の話し合いで、調停委員という年配の男女が間に入って当事者の話し合いを取りもってくれますので、何も弁護士をつけなくても自分だけでできそうだと思いがちです。実際、弁護士を付けなくてもうまくいくケースもあるのですが、一般的にそうだと考えて弁護士なしで進めてゆくのは危険です。

 というのも、弁護士がサポートしていないと、離婚調停で行っている話し合いが、離婚相場にかなった妥当なものなのかどうか、よくわからなくなってしまうからです。
 家庭裁判所で行っているので、きっと離婚相場にかなっているんだろうと盲信してしまいがちですが、これは危険です。なぜなら、離婚調停は裁判ではなく、裁判官がジャッジしてくれるわけではないからです。また、離婚調停の間を取り持ってくれる調停委員は、裁判官ではなく、弁護士でないことも多く、ある程度離婚について法的知識は持っているものの、素人に近い人が多いと思っておいた方がいいからです。
 このため、弁護士を付けずに離婚調停に臨むと、例えばあなたとしては絶対に離婚したくないと思っていても、「まあ、そんなこと言ったって、相手がイヤだって言ってるんだから、せめて沢山お金をもらって離婚したらいいんじゃないの?」と妙な説得をされてしまって、あなたにしてみれば無理矢理、離婚調停をまとめられてしまった気がするというケースがよくあります。離婚調停が成立してしまったら、あとで白紙撤回することはできませんので、泣くに泣けません。

 この点、弁護士が代理人に就いていれば、あなたの意向を十分尊重して離婚調停を闘ってくれます。嫌なものはイヤ、相場にかなわないものはダメ、ということで、ちゃんとベストな道を進んでくれますので、これほど頼りがいのあるものはないでしょう。

4)相手に弁護士がついた!
 この場合は、当然こちらもすぐ弁護士をつけましょう。
 離婚の相手に弁護士がつくと、なんとなくその弁護士が第三者として仲介してくれるような気分になることがあり、その弁護士にこちらの事情も話せばわかってくれると思いがちです。確かに、弁護士は、ある程度客観的に状況を判断しますから、あなたの言い分を最初から全く無視すると言うことは少ないと思います。しかし、相手の弁護士はあくまでも相手の味方です。あなたの弁護士ではありません。
 したがって、相手の弁護士はあなたに有利ではなく、相手に有利に話し合いをまとめようとしますので、素人のあなたがプロの弁護士に法的な部分で対抗することは困難です。だから、無闇に相手の弁護士と直談判しようなどとは思わずに、あなたはあなたで弁護士を依頼すべきです。
 相手に弁護士がついたら、こちらも弁護士をつける。これ、常識です。


・・・どうでしょうか。

 弁護士は、離婚調停をするなら(されたなら)必ず頼む、その前でも早めに相談をして、話がこじれそうになったり、相手に弁護士がついたら迷わず依頼する、これが弁護士と関わるタイミングです。