ぶっちゃけ離婚慰謝料っていくら?

2011/05/10

離婚に際して「慰謝料いくら取れますか?」という質問は、実に多い。
そこで、ぶっちゃけ、ここで言ってしまおう。

待て、その前に伝えておかないといけないことがある。まずそれを聞いて欲しい。


1)離婚に際して、男が女に払うのが慰謝料ではない
 未だに誤解している女性がいる。
 離婚に際して、女性は必ず慰謝料をもらえるわけではない。慰謝料というのは、精神的苦痛に対する金銭的対価のことだ。要するに精神的苦痛を与えた者による損害賠償金だ。そうすると、旦那が不倫したり暴力したり、そういう夫の悪さを専らの原因として離婚した場合なら、これは夫から慰謝料を取れるケースだ。
 しかし逆に、カミさんが不倫したり暴力したり、そういう妻の悪さが専らの離婚原因だった場合。この場合には、妻が夫に慰謝料を払う必要がある。つまり、女が男に慰謝料を払う場合だってあるのだ。
 だから、慰謝料というのは、男とか女とか性別ではなくて、特に悪い方から悪くない方に支払うもの、こういう風に覚えておくべし。

2)離婚に際して、常に慰謝料をもらえるわけではない
 じゃあ、男であろうと女であろうと、離婚に際して常に慰謝料がもらえるのかというと、そうではない。
 例えば、夫婦どちらも不倫だとか暴力だとか決定的な非は無いんだけれども、なんとなく性格が合わないんだよねということで離婚したいというケース。こういう性格の不一致離婚というのは結構多いわけだが、この場合には、どちらが良いとか悪いとかではないので、原則として慰謝料は発生しない。
 離婚に際して、慰謝料の取り決めが不要なケースというのは、結構多いのだ。

3)芸能人の離婚と一緒にするな!
 テレビのワイドショーを見ていると、芸能人夫妻が何千万円だか1億円だかの慰謝料を支払って離婚した、というレポートが登場することがある。週刊誌や日刊紙を飾る記事でもそんな報道がなされたりする。
 しかし、こういう慰謝料は、実際の相場としてはありえない。
 もちろん、上に述べたように慰謝料というのは、金銭的苦痛に対する金銭的対価だから、明確な計算式によって機械的に算出されるべきものではない。自分のこの精神的苦痛は1億円を払ってもらわないと癒されないということなら、1億円請求しても全然構わない。
 それで実際に、1億円の支払いを<任意に応じている>のが芸能人離婚なのだ。
 しかし、1億円の請求に対して、相手が任意に応じない限りは、果たしていくらの慰謝料が相当なのかは、離婚裁判の中で裁判官が決めることになる。この裁判官が通常決める金額が、離婚慰謝料の相場といわれるものだ。
 この相場が数千万円だの1億円だの、ありえませんから(笑)。そもそも、あなたの配偶者に1億円の支払い能力がありますか?

4)慰謝料が少なくてもがっかりするな。財産分与がある。
 じゃあ離婚慰謝料をいっぱいもらえない、或いはどちらに原因があるとも言えない離婚だから金銭は何ももらえない、と諦める必要はない。
 離婚に際して取り決める夫婦間の金銭的対価は、慰謝料だけではない。財産分与があるのだ。
 財産分与とは、結婚期間中(正確には結婚して同居期間中)に、夫婦で築き上げた財産を夫婦どちらの名義になっているかどうかに関係なく、概ね折半して精算して分けあうことをいう。
 だから、慰謝料が問題とならない事案でも、財産分与は十分与えられる場合が多い。また、資産家の夫婦の場合には、財産分与だけで数千万や1億以上になることもありうる。だから、慰謝料だけで数千万円以上になることはありえなくても、離婚の際の最終的な支払金(これを離婚給付金という)が、数千万円以上になることはありうるのだ。

5)慰謝料は収入比例ではない
 夫が金持ちだから慰謝料をいっぱいもらえるはずだというのは誤解だ。
 上に述べたとおり、夫が金持ちだと財産分与の額が多くなるということはありうるが、慰謝料は当の本人の精神的苦痛に対する金銭的対価だから、夫が金持ちだと苦痛が大きくなり、貧乏だと苦痛が低くなるということは多くなかろう。苦痛の程度は、夫の経済力とは殆ど無関係に一律なはずだ。
 だから離婚慰謝料は、相手の資産や収入の多寡を若干の一要素とすることはありえても、資産だけに当然比例して大きく上下するものではない。


・・・さて、ここまで前置きをした上で、いよいよ離婚慰謝料相場についてお話をしよう。

 くれぐれも留意して欲しいのは、これから述べることは、慰謝料の額で当事者が折り合わなかった場合に、裁判所が認定しそうな額という意味での相場だ。つまり裁判相場だと思って欲しい。上記のように、芸能人離婚の場合は、当事者がその額でいいといって払っているわけだから、青天井だ。当事者が任意に支払う慰謝料額に相場はないということは要注意だ。

さてそれを前提として、先ず大枠として、

 100万円から1000万円未満程度

という範囲が一つの相場だ。絶対にこの範囲以上以下はありえないかというと、そうとは言えない。慰謝料は機械的な計算によってはじき出されるものではないからだ。ただ、経験上の数値として、この程度の範囲内に収まっていることが圧倒的多数だろう。

そして異論は承知で、また司法統計なんてものをいちいち顧みているわけではない前提で、あくまでも私の経験上の感覚として、もう少し相場範囲を狭めてみるとしたら、

 100万円から500万円程度

だ。

もうひとこえハッキリさせろというのであれば、

 2~300万円程度

と言ってみたい。まあ、ちょっと絞り過ぎかもだが。
ちなみにこの額は、ちょっとした不倫や暴力があった程度のケース。長年にわたって繰り返し暴力を受けていたり、愛人を作って家庭を顧みず放蕩していたような場合には、もっと金額はハネ上がるので(500万円以上)注意だ。

なお、私の実績としては、判決による離婚慰謝料として800万円以上を獲得した実績が複数回あるので、上記はあくまでも平均的な相場感覚としてご理解頂きたい。私なら、事案によっては、800万でも1000万円以上でも闘い獲りたいところだ。


大分、独善的な情報提供になってしまった感がなきにしもあらずだが、とりあえず敢えてハッキリ言ってみた。