離婚弁護士の探し方

2011/08/19

 離婚事件には長年の経験と実績のある私をお選び頂いて全く構わないわけですが(笑)、それはさておき、一般論として離婚弁護士の探し方を語ってみましょう。


1)相性
 弁護士とクライアントは、基本的に相性です。先ずこれを最初に強調したい。
 ウェブの広告だとか有名性だとか、そういうものに惑わされずに、実際に会って、人間性を確かめてみましょう。検索エンジンの上位にいつも表示されているとか、ウェブが綺麗だとか、テレビに出ているとか、本をいっぱい書いているとか、所属事務所が大きいとか、そういう弁護士が離婚事件の処理に優れているとは限りません。
 離婚事件は、単なる借金問題だとかビジネス問題と違って、男女の性格の行き違いなど、人の気持ちの奥底によこたわる感情が大きく影響する事件です。だから、頭でっかちのお利口さんなだけの弁護士ではダメです。法律的知識の豊富さや弁護士的技術の巧みさもさることながら、人として「この人なら頼れる!」と思える相性があるかどうか、これこそが大切じゃないでしょうか。弁護士と是非直接話してみて下さい。そして弁護士のひととなりを自分なりに評価してみて下さい。そして相性を感じて下さい。


2)説明のわかりやすさ
 説明がわかりにくい弁護士は困りものです。
 例えば、「あなたの場合は、調停で『コンピ』の支払を求めた方がいいですね」といきなりアドバイスされて、その意味がわかるでしょうか。ネットなどで予め離婚情報を多少でも勉強して予備知識があれば、『コンピ』とは『婚費』つまり『婚姻費用』のことだ、そして婚姻費用とは法律用語で夫婦の生活費のことだとわかるかもしれませんが、こういう専門用語を最初から当然のように使い倒す弁護士は困りものです。
 私なら、まず最初は「あなたの場合は、裁判所を利用して『生活費』の支払を求めた方がいいですね」と言います。普通の素朴な日常用語に言い換えて説明ができるかどうか、これは離婚事件に限らず、サービス業である弁護士の重要な態度だと思います。


3)報酬の明確性
 説明がわかりやすい弁護士は、たいてい報酬についてもわかりやすく説明をしてくれるはずです。
 昔ながらの弁護士だと、「まあ悪いようにはしないから、僕に万事任せなさい」というだけで、報酬の見積もりや総額について十分説明をしてくれない人もいるようです。しかし、報酬について明確に説明できない弁護士は依頼するのをやめた方がいいでしょう。報酬は必ず事前に具体的に説明し、かつ、これを後日のために報酬説明書として紙に書いたもので残してくれる弁護士、これしかありえません。
 また、ウェブでは安い報酬をうたっておきながら、実際はオプション的な料金が次々かかって、トータルでは結構高額になるというケースもありますので、安すぎる報酬で広告をする弁護士も要注意です。例えば、離婚調停を着手金5万円で引き受けます、という弁護士が居たとしたら、これは最初は安くても事件終了時にかなり高額な成功報酬を取られるんだろうなと、私だったら感じます。じゃあ、トータル5万円で全部引き受けるという弁護士が居たとしたら、これは相当な手抜きをされるか、5万円でも仕事を引き受けたいという売れない弁護士(=不手際な弁護士)か、まず普通は見かけないボランティア弁護士か、そのどれかだなと、私だったら感じます。離婚調停は最低でも10万円単位以上の費用をかけなければ、たいていの弁護士が十分なクオリティを提供できません。なぜなら弁護士の仕事は大量生産できる仕事ではなく、あなたに特化したオーダーメイドだからです。逆に離婚事件の着手金だけで100万円以上要求する弁護士も、おい、それちょっと取りすぎじゃないか、と私だったら思います。
 なお、弊所は全ての事件において原則として固定報酬ですので、事件にかかる弁護士費用総額を最初から明快に説明ができますが、弁護士によっては、割合的な報酬を取るところも多いようです。これは例えば、離婚給付金を1000万円取れたらその10%を頂きますというような、割合で報酬が上がったり下がったりするというものです。取れた金額によっては思わぬ高額になりますので、事前に具体的な例を挙げてよく説明を受けておきましょう。


4)十分な経験
 弁護士は職人です。職人であれば、新人と十分な経験を積んだ者とで違いがあるのは当然です。成り立ての新人弁護士が10年選手の弁護士と同じ能力では普通ありません。
 したがって、目安として10年程度の弁護士経験があるかどうかは重要でしょう(10年未満の弁護士が絶対ダメとは言いません。)。同じ法曹でも、裁判官は10年経過しないと判事にはなれません。判事補のままです。検察官は8年以上にならないと1級検事にはなれません。2級検事のままです。したがって、弁護士も10年程度というのは職人として一人前かどうかの一つの目安になりうると、私は考えています。
 一方、弁護士経験が長ければ長いほどいいというわけでもなく、やはり職人ですから、旬なワザを身につけているかどうか、やっぱり脂が乗った時期はあると思うのです。一般論として、だいたい弁護士経験10年から30年くらいのところが脂が乗った時期ではないでしょうか。90歳のヨボヨボな職人だと心配というのは人の素朴な感情だと思います。実際、心配です。そういうことです。
 なお、自分が依頼している(依頼しようとしている)弁護士の経験年数を調べる方法は簡単です。日弁連のホームページに「弁護士検索」システムがありますので、そこで知りたい弁護士の氏名等を入力して検索してみましょう。検索結果画面の一番左に「登録番号」という欄があります。この登録番号は、弁護士登録をした順に割り振られるので、番号が小さいほど弁護士経験が長いということになります。
 例えば私の登録番号は23000番台ですが、この番号は平成6年登録組(経験年数17年)です。また昨年(平成22年)登録した1年目の新人弁護士だと登録番号が42000番台です。平成23年現在で登録10年目の弁護士の登録番号は29000番前後です。登録5年目だと34000番前後です。35000番より大きい登録番号だと、経験1年から4年目程度の弁護士ということになります。


5)離婚事件についての経験
 10年選手以上の弁護士なら誰でもいいかというとそうではありません。やはり離婚事件について実際に多数取り扱った実績があるかどうかという具体的な経験値が重要です。
 例えば私の場合、弁護士登録をしてから20年近くになりますが、もう10年以上、常時10件以上の離婚事件の手持ちがあります(離婚事件ばかりやっているわけではありませんが)。そして、週に2回程度以上は調停や訴訟のために家庭裁判所に行っています。特に、最低週に1回程度は、毎週継続的に家庭裁判所に通っているかどうか、このあたりも離婚事件の経験値の豊富さとして重視すべきではないでしょうか。依頼しようと思っている弁護士に、この辺、単刀直入に訊いてみたらいいと思います。
 なお、離婚調停を有利に成立させたとか、離婚訴訟の勝訴率だとか、そういう結果そのものの多さはあまり重視しなくていいでしょう。なぜなら、日本の調停や裁判は、弁護士の弁論技術で勝ち負けが決まるわけでなく、あくまでも事件が元々持っている筋によって結果が決まる部分が大きいので、経験値豊富な優れた弁護士が担当しても、勝つものは勝つし、負けるものは負けるからです。


6)事件の見通しがはっきり言えること
 離婚事件は、法律事務では比較的簡単な類型で、かつ判例などによる相場が見えやすい傾向があります。
 例えば、離婚慰謝料の相場だとか、養育費の額だとか、親権がとれるかとれないかだとか、そもそも離婚できるのかどうかだとか、この辺は、経験値を積んだ弁護士であれば、ある程度の見通しを述べることができます。もちろん、相手のあることですから、絶対に勝てるとか負けるとか、そういう判断はできないわけですが、それでもだいたいこんな見通しであるということはハッキリ言えるケースが多いのも離婚事件の特徴です。
 したがって、何を聞いても、ハッキリしたことをいってくれない弁護士は、離婚事件の経験値が乏しいと思われますので、依頼するのはやめた方がいいでしょう。逆に、大丈夫大丈夫、ことごとく勝ちますよ、取れますよ、とたいして事情を話してもいないのに、最初からなんでもかんでも太鼓判を押す弁護士も、単なる大風呂敷である可能性が高いのでやめた方がいいでしょう。
 できるものはできる、ダメなものはダメ、難しけれども闘うだけのことがあるものは闘う、こういうハッキリと進む道を提示してくれる弁護士が頼れるんじゃないでしょうか。


・・・とまあ、こんな感じで、あなたのお好みの離婚弁護士を探してみて下さい。たぶん、私の所に戻ってくるんじゃないですか(笑)。はい、大風呂敷でした、スミマセン。