Q.和解ってどうよ?裁判やる以上、手打ちにするつもりはないんだけど。

A.
全面勝訴判決よりも、和解の方が有利な場合も少なくありません。

確かに、裁判を起こす以上、判決でこちらの全面勝訴を宣言してもらった方が気持ちもスッキリするでしょう。しかし、判決は、いかに全面勝訴しても次のデメリットがあります。すなわち、
(1)判決で勝っても、相手が不服申立をしたら、高等裁判所(控訴審)→最高裁判所(上告審)とあと2回裁判を続ける必要がある
(2)ということは、最終的に判決が確定するまでには時間も追加の弁護士費用もかさむ
(3)その上、全面勝訴判決すれば、控訴審以降でも維持されるとは限らない。刑事裁判と違って民事裁判の場合は、一審の結論が控訴審で逆転される可能性は低くない
(4)判決の場合は、和解と違って不服を持った相手が任意に判決内容を履行するとは限らない。判決内容を履行しなくても、強制執行を受ける以外に法的ペナルティはなく(判決に従わないことは犯罪ではない)、相手に資産がなければ強制執行は不可能である

一方、訴訟上の和解には次のメリットがあります。すなわち、
(4)判決はオールオアナッシングの一刀両断な内容だが、和解の場合は判決では宣言できない柔軟な内容を盛り込むことができる(ある程度譲る代わりに、判決には入れられない交換条件を盛り込むことができる)
(5)ともかくもお互いに納得した結果として和解するので、判決と比べて相手による任意の履行が期待しやすい
(6)和解も判決と同様の強制執行力があり、和解条項の作り込みによって、相手方の約束違反の場合には判決以上のペナルティを獲得することができる
(7)判決では負ける可能性がある側にとっては、完敗を回避することができる
(8)和解に対する不服申立はできないので、控訴上告される可能性はなく、和解終了と同時に事案は終局解決する。

したがって弁護士が和解の検討をお勧めした場合には、決して適当な手打ち解決をお勧めしているわけではなく、依頼者の将来的な損得を考えた上でお話をしているので、判決の場合と和解の場合の具体的な違いや経済合理性をよく説明してもらうといいでしょう。

まして、ときどき訴訟の勝率を自慢する弁護士が日本にもいるようですが、訴訟を依頼者抜きのゲームとしか考えていないと言わざるをえず、プロの態度としては論外というべきでしょう。
和解にも依頼者に対する大きなメリットがあるケースが多い以上、勝訴率と弁護士の能力は全く関係ありません(勝率を自慢すると言うことは、そもそも勝ち筋の依頼しか受けない弁護士と言うことです。)。

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