弁護士小川義龍の言いたい放題(弁護士日記・A面)

投稿日時:2015/03/11(水) 19:08rss

弁護士にはサイコパスが多い!?

 今日、こんな記事を読んだ。サイコパスが多い職業ランキング第2位に、弁護士が堂々入賞している。まことにめでたい。いや、めでたくない。


 心理学者が分析したとあるが、ほぼネタ記事だろう。だから真剣に扱うわけではないが、真面目半分にちょっと考察してみたい。

サイコパスって?

 もはや日常よく使われる用語だから、知らない人は少ないだろう。ウィキペディアによると「精神病質(せいしんびょうしつ、英: psychopathy、サイコパシー)とは、反社会的人格の一種を意味する心理学用語であり、主に異常心理学や生物学的精神医学などの分野で使われている。その精神病質者をサイコパス(英: psychopath)と呼ぶ。」とある。

 そして、その特徴として「良心が異常に欠如している、他者に冷淡で共感しない、慢性的に平然と嘘をつく、行動に対する責任が全く取れない、罪悪感が皆無、自尊心が過大で自己中心的、口が達者で表面は魅力的」であるとサイコパス要件を列挙している。

 映画でも「羊たちの沈黙」のレクター博士や「悪の教典」の教師蓮実がサイコパスとして描かれていて衝撃を受けた方も多いだろう。あれがサイコパスの俗なイメージだ。

弁護士にサイコパスが多いのは本当か

 では、弁護士にはサイコパスが多いのは本当だろうか。上記サイコパスの要件に当てはめてみよう。

良心が異常に欠如している

 良心が欠如していたら、弁護士の使命である人権擁護も社会正義も実現できないから、これは当てはまりそうにない。良心があるからこそ弁護士や法曹を志したわけだ。

 ただ、裁判の相手方からすれば、きっと良心が欠如していると見えることもあるだろう。自分が正しいと思っている事実を、真っ向から否定し反論して争ってくるわけだから、相手からすれば弁護士は実に憎々しい。つまり良心が異常に欠如していると思われやすい。ましてこれが刑事事件の被害者だったりすると、なんで悪人の味方をするんだ、良心はないのかと、素朴に納得できないだろう。

他者に冷淡で共感しない

 弁護士は困っている人を助ける仕事だから、他者に冷淡で共感しないという属性は本来持っていない。他者に暖かく共感してこその弁護士だが、しかし、困っている人と完全に同化してしまうわけにはいかない。ここが弁護士の想いに反して、見かけ上、冷淡で共感しないように見えてしまう場合だろう。

 弁護士が本人と同じように熱くなっていたら、冷静な判断ができない。争いの火種に油を注ぐだけのことになってしまう。だから、本人の代理人ではあるものの、第三者的な視点で冷静に問題を整理して紛争を解決しようとする。この冷静さが、時に冷淡に見えてしまうのかもしれない。また、困っている人の悩みや悲しみを自分に同化してしまったら、弁護士も人間である以上、己の精神が参ってしまいかねない。だから、共感しても完全に同化しないスタンスが不可欠だったりする。

慢性的に平然と嘘をつく

 20年ほど前の米国映画でジム・キャリーが主演した「ライアーライアー(Liar Liar)」という映画を思い出した。どんな無理な依頼でも、得意の嘘で無罪を勝ち取ってしまう弁護士の話だ。弁護士は嘘つきというジョークで笑えるくらいだから、洋の東西を問わず、弁護士は嘘つきと見られることがあるのだろう。実際、裁判の相手方からすれば、嘘つきの片棒を担いでいると見えることがあるに違いない。

 しかし弁護士が嘘をつくことはない。これは基本的な職業倫理だ。そのように見えるとしたら、依頼者が弁護士に対して正しく事実を伝えていないか、事実は正しく伝えているものの、自分に不利な事実を隠し有利な事実しか話していないか、一つの事実に対して複数の評価ができる場合、その中から依頼者に有利な評価を取り上げて主張したに過ぎないか(他方の評価を主張している相手からすれば、それは違う、つまり嘘と言うことになる)、こんな場合ではないかと思う。

行動に対する責任が全く取れない

 弁護士は責任感がなければ務まらないはずだが、このように誤解されそうな場合を想像してみる。例えば、裁判に勝てますということで依頼を受けた場合。結果として裁判に負けてしまったら、これは依頼者からすれば、勝てると言った言動に対する責任が取れないと評価するだろう。

 しかし弁護士が、裁判に勝てますと断定して依頼を受けることはまずない。なぜなら、裁判に勝てるかどうかは、証拠次第だし、裁判官の判断次第だ。だから、我々弁護士は、「勝訴の請負屋」ではなく、「勝訴できるよう頑張る」立場でしかない。勝てるかどうかは保証できないけれども(勝てる可能性が高いか低いか程度は言えるけれども)、勝ちに向けて万全を期して依頼者の代わりに頑張るという「受任者」の立場だ。

 そうはいっても、弁護士が当初「この裁判は勝てる見込みがあるので一緒に頑張りましょう」と言ったのを、「この裁判は勝てる」という部分だけ切り取って記憶していて、結果として負けた場合に不満を持ってしまう依頼者もいそうだ。これは容易に想定できる弁護士と依頼者のありがちなトラブルなので、依頼当初の説明で、くれぐれも誤解がないように十分説明するインフォームドコンセントが重要となる。

罪悪感が皆無

 罪悪感を遵法感覚とすれば、弁護士ほど罪悪感に敏感な職業もないだろう。例えば、相手方本人に対して手紙を送付する場合。こちらの依頼者が詐欺にあってお金をだまし取られた場合でも、特に客観的な証拠もなく依頼者が口頭でそのように弁護士に説明しただけの場合には、当初の手紙で、「あんた詐欺師だから、刑事告訴されなかったら金返せ、さもなくば酷い目に遭わせる」という記載はしない。そのような断定的かつ威迫的な手紙を送ったら、いかにこちらに正義があったとしても、恐喝罪、強要罪になりかねない。特に弁護士は、その立場自体が相手にとってプレッシャーになるわけだからなおさらだ。こんな風に、弁護士は、仕事上、先のことまで考えつつ罪悪感に敏感に、相当慎重な言動をする人が多い。

 罪悪感が皆無というサイコパス要件は、ちょっと当てはまる例が思いつかない。

自尊心が過大で自己中心的

 これはもう、とても多そうだ(笑)。これは反論できない。先生と呼ばれる職業の人達はだいたいそんなもんじゃないか。弁護士や医者や政治家がなんで先生と呼ばれるのかよくわからないが、困っている人を助けたり、リードしたり、そういう立場の人は尊敬されるから先生なんだろう。しかしそれを言ったら、消防士さんやおまわりさんは何で先生じゃないのか、ドクターは先生なのにナースは何で先生と呼ばないのか、この辺よくわからない。まあ先生呼称論はいずれ別稿を設けるとして、弁護士は自尊心が過大で自己中心的な人が多いのはたぶん間違いない。

 しかしながら、そういう大きな自尊心や自己中心的オレ様的な自信が、依頼者をぐいぐいと引っ張ってゆく頼もしさや、相手に対する負けず嫌いな闘争心などに繋がっていることも看過できないはずだ。ちょっと業界弁護してみた。ご容赦願いたい。

口が達者で表面は魅力的

 これもそのとおりだ(笑)。口が達者でなければ、弁護士は勤まらない。また、依頼者と信頼関係で結ばれ、依頼者の権利を護る立場にあるわけだから、依頼者にとって魅力的な人格でなければ依頼していただけないだろう。

 ただ、唯一サイコパスと違うのは、その魅力は表面だけでなく内面にもあると自負していることだ。内面から醸し出される魅力によって、依頼者から信頼される、そんな弁護士になりたいものだ。

果たして結果は?

 このように、サイコパス要件にそれぞれ当てはめてみたが、どうも弁護士にサイコパスが多いとは思えない。しかし、サイコパスが多いと誤解されやすい職業が弁護士であるには違いない。

 というわけで、社会一般のサイコパス率と変わらないんじゃないかと思うので、みなさまどうぞ安心して弁護士にご依頼ください(笑)。

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